■NMNと血糖値について

NMNは血糖値を改善することがマウスを用いた研究で明らかにされました1)。月齢3-6ヶ月のマウスに毎日高脂肪食(通常食と比較して42%カロリーが高い食事)を与え続けて肥満にしたところ、ニコチンアミドからNMNに変換する酵素であるNAMPTと、NMNから生成されるNADの量が著しく低下することがわかりました。肥満マウスでは耐糖能異常(インスリンの分泌不足や作用不良により、血中の糖分の処理能力が劣っていること)がみられ、2型糖尿病を発症していることが確認されました。この肥満による2型糖尿病マウスにNMNを毎日投与したところ、用量依存的にNAMPTとNAD量が回復することが明らかになりました。

さらに、この肥満マウスに500mg/kg/dayのNMNを1週間投与したところ、投与しなかった群と比較して有意な体重変化はみられなかったものの、耐糖能の改善がみられました。血中のインスリン濃度自体は両群で差はありませんでしたが、インスリン抵抗性(インスリンが分泌されているにもかかわらず、感受性の低下により血糖値が高くなってしまうこと)の原因となる「酸化ストレス」、「炎症反応」、「脂質代謝異常」、および「免疫の異常」が改善しており、これらによりインスリンの感受性の改善が示唆されました。

また、加齢によっても耐糖能が低下しますが、加齢による2型糖尿病マウスにおいても、NMN投与による耐糖能の改善効果が示されました。しかも、この効果はNMN初回投与後すぐに観察され、NMN血糖改善効果が速やかに出現することが明らかになったのです。

これらのことから、NMNは2型糖尿病の改善策となる可能性があると期待されています。

(執筆:薬剤師 椎田成美)

 

  • Cell Metabolism. October 2011.

Nicotinamide mononucleotide, a key NAD(+) intermediate, treats the pathophysiology of diet-and age-induced diabetes in mice